【SAP MMモジュール】在庫照会と在庫ステータス管理の徹底解説

SAPノウハウ

1. イントロダクション

在庫管理はSAPのMM(Materials Management)モジュールにおける最も重要なプロセスの一つです。在庫照会の効率的な運用は、在庫コスト削減やサプライチェーン全体の最適化に直結します。本記事では、在庫照会における基本的な機能と、SAPでよく使用されるトランザクションコード(T-code)「MMBE」「MB52」「BMBC」を中心に解説し、それぞれの特徴を詳しく紹介します。


2. 在庫照会とは?

在庫照会とは、企業の在庫状況をリアルタイムで確認し、必要に応じて在庫の移動や調整を行うためのプロセスです。在庫照会によって、現在の在庫数量、保管場所、在庫のステータスなどを確認することができます。


3. MMBEとは?

MMBEは、SAP MMモジュールで在庫を照会するための代表的なトランザクションコードです。このT-codeを使用すると、特定の品目に関する在庫状況を複数の角度から確認できます。具体的には、品目の在庫がどのプラントや保管場所にあるか、さらにはその在庫のステータス(利用可能、品質検査中、保留など)を表示します。

MMBEの主な特徴
  • 在庫の表示単位: 品目単位、プラント単位、保管場所単位で在庫を確認。
  • リアルタイムデータ: MMBEはリアルタイムの在庫状況を表示するため、最新の在庫情報に基づいた意思決定が可能です。
  • 各ステータスごとの表示: 在庫は利用可能、品質検査中、保留、移動中などのステータスに分類されて表示されます。
MMBEで確認できる主な在庫ステータス
  1. 利用可能在庫(Unrestricted Stock): 販売や生産にすぐに利用できる在庫です。
  2. 品質検査中在庫(Quality Inspection Stock): 品質検査が終わるまで利用できない在庫。
  3. 保留在庫(Blocked Stock): 不具合があったり、利用できない状態の在庫。
  4. 移動中在庫(Stock in Transit): ある保管場所から別の保管場所への移動中の在庫。

4. MB52とは?

MB52は、品目別の在庫一覧を表示するためのトランザクションコードです。このレポートを使うことで、複数の品目やプラントにまたがる在庫の全体像を把握することができます。具体的には、どの品目がどのプラントや保管場所に存在し、利用可能な在庫がどれだけあるかをリスト形式で確認することが可能です。

MB52の主な特徴
  • 品目の一括表示: 複数の品目に対する在庫情報を一括で確認でき、総在庫量や保管場所ごとの内訳を把握。
  • フレキシブルなフィルタリング: 品目やプラント、保管場所をフィルタリングして表示が可能。
  • 一覧形式の表示: 在庫情報が品目別にリスト表示され、複数品目の在庫状況を一度に確認するのに便利です。

5. BMBCとは?

BMBCは、バッチ管理機能を持つ品目の在庫状況を確認するためのトランザクションコードです。このコードを使うと、特定のバッチに関連する在庫がどの保管場所にあり、どの状態にあるかを把握できます。バッチ番号に基づいて在庫を追跡できるため、品質管理や特定ロットの追跡が必要な業界でよく利用されます。

BMBCの主な特徴
  • バッチごとの在庫追跡: バッチ番号を基にして在庫を追跡でき、特定のバッチの品質や使用状況を確認。
  • 有効期限の管理: バッチ管理において、製品の有効期限などを簡単に確認できる機能があり、品質管理にも役立ちます。
  • 複数プラントにまたがる在庫管理: 複数のプラントにまたがるバッチ在庫の一括表示が可能です。

6. MMBEとMB52、BMBCの使い分け

  • MMBEは、単一の品目やプラントに対する詳細な在庫状況を確認したいときに最適です。リアルタイムのステータスを素早く把握できます。
  • MB52は、複数の品目やプラントにまたがる在庫を一覧で確認したい場合に使います。特に大規模な在庫状況を俯瞰するのに便利です。
  • BMBCは、バッチ管理を行っている場合に、特定バッチに関する在庫や品質情報を追跡するのに役立ちます。

7. まとめ

SAPのMMモジュールにおける在庫照会機能は、企業の在庫管理を最適化するための重要なツールです。MMBEMB52BMBCの3つのトランザクションコードは、それぞれ異なる用途や視点で在庫状況を管理できるため、業務ニーズに合わせて使い分けることが重要です。特に、リアルタイムの在庫確認、バッチ管理、在庫の全体像を効率的に把握するために、これらのツールを活用しましょう。

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