SAP PPの計画手配をさらに効果的に活用するためには、基本設定に加えて高度な設定を行い、問題発生時に迅速に対応できるスキルが必要です。本記事では、高度な設定方法や代表的なトラブルとその解決策について、初心者にも分かりやすく解説します。
基本を押さえてからのほうが理解が深まりますので、基本から理解したい方はこちらの記事を先にご覧ください。
目次
- 計画手配における高度な設定方法
- 再計画チェック(再計画指標)
- マルチレベル計画の有効化
- スケジューリングの高度な設定
- 計画手配のよくあるトラブルと解決方法
- 計画指図が生成されない
- 過剰手配が発生する
- 品目のリードタイムが無視される
- ケーススタディ:実際の問題と解決手順
- まとめ
1. 計画手配における高度な設定方法
再計画チェック(再計画指標)
再計画指標を設定することで、計画手配の際に手配データの更新条件を制御できます。
- 設定手順
- トランザクションコード:
OMI3
を使用 - 再計画指標の設定を選択(例:在庫量が変動した場合に再計画を実行)
- MRP実行時に影響する範囲を確認
- トランザクションコード:
- 活用シナリオ
需要の頻繁な変動がある場合、適切な指標を設定することで不要な計画の変更を防ぎます。
マルチレベル計画の有効化
マルチレベル計画では、BOM(部品表)の階層を考慮して計画を実行します。
- 設定手順
- 品目マスタの「MRPタイプ」を確認(例:PDを選択)
- MRP実行時に「マルチレベル計画」を有効化
- トランザクションコード:
MD01
またはMD02
- 実行オプションで「下位品目を計画」を選択
- トランザクションコード:
- 活用シナリオ
製造指図が複数の階層に分かれている場合、すべての部品が適切に計画されます。
スケジューリングの高度な設定
スケジューリング設定により、計画指図や購買依頼の日付を正確に計算します。
- 前提条件
- スケジューリングパラメータの確認(トランザクションコード:
OPPU
) - リードタイムの設定を品目マスタで行う
- スケジューリングパラメータの確認(トランザクションコード:
- 設定項目
- バックワードスケジューリング:納期から逆算して開始日を設定
- フォワードスケジューリング:開始日から順算して納期を設定
- 注意点
生産リードタイムが現実的でない場合、計画結果が不正確になることがあります。
2. 計画手配のよくあるトラブルと解決方法
1. 計画指図が生成されない
- 原因
- MRPタイプの設定が不正確
- 安全在庫やリードタイムの設定が不足
- 解決策
- 品目マスタのMRP設定(
MM02
)を確認 - MRP実行範囲を広げる(トランザクションコード:
MD01
)
- 品目マスタのMRP設定(
2. 過剰手配が発生する
- 原因
- ロットサイズの設定が大きすぎる
- 過剰な計画タイムフェイス設定
- 解決策
- 品目マスタでロットサイズを適切に調整
- 計画タイムフェイスを短く設定
3. 品目のリードタイムが無視される
- 原因
- スケジューリング設定が未設定
- 生産リードタイムが品目マスタに登録されていない
- 解決策
- スケジューリングパラメータを確認(
OPPU
) - 品目マスタにリードタイムを追加(
MM02
)
- スケジューリングパラメータを確認(
3. ケーススタディ:実際の問題と解決手順
ケース:ある品目について、計画タイムフェイスの設定が不足し、必要な計画指図が生成されない。
- 状況分析
- MRPタイプ:PD(標準計画)
- 計画タイムフェイス:未設定
- 解決手順
- 品目マスタ(
MM02
)を確認し、適切な計画タイムフェイスを設定 - 再計画指標を有効化(
OMI3
) - MRPを再実行(
MD01
)し、計画指図が生成されたことを確認
- 品目マスタ(
4. まとめ
計画手配の高度な設定やトラブルシューティングをマスターすることで、SAP PPをより効果的に活用できます。本記事で紹介した設定方法や問題解決のアプローチを実践し、業務の効率化を目指しましょう。
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