SAP PPにおけるロットまとめ方式の概要と種類

SAPノウハウ

SAP PP（生産計画）モジュールでは、生産や調達を効率的に計画するために「ロットまとめ方式」を使用します。この方式を活用することで、計画される調達量を最適化し、無駄や過剰生産を防ぐことができます。本記事では、以下のロットまとめ方式の分類を基に、各方式の詳細やシナリオを解説します。

ロットまとめ方式一覧

以下は、代表的なロットまとめ方式の分類とそれぞれの値、方式の内容です。

分類値ロットまとめ方式
静的ロットまとめ方式EXロットフォーロット指図数量
FX固定数量まとめ
HB最大在庫まで補充
期間ロットまとめ方式TB日次ロットまとめ
WB週次ロットまとめ
W2第2週
MB月次ロットまとめ
PB会計期間ロットまとめ
PK計画カレンダによる期間ロットまとめ
最適ロットまとめ方式SPPPB方式
WI最小単価数量まとめ
DY動的ロットサイズ登録
GRグロフ数量まとめ

1. ロットまとめ方式とは？

ロットまとめ方式とは、MRP（資材所要計画）において、発注量や生産量をどのようにまとめるかを決定する方法です。
これを適切に設定することで、調達コストを抑え、資材やリソースの利用効率を高めることができます。

ロットまとめ方式は、品目マスタのMRP 1ビューで設定されます。トランザクションコード：MM02を使用して設定内容を確認・変更可能です。

2. 静的ロットまとめ方式：詳細とシナリオ

静的ロットまとめ方式は、事前に定義した固定ルールに従い、発注量を決定します。

詳細

値方式説明
EXロットフォーロット指図数量必要量をそのまま発注。柔軟な対応が可能。
FX固定数量まとめ常に一定数量を発注。需要変動が少ない場合に適用。
HB最大在庫まで補充在庫量を最大許容値まで補充。欠品リスクを回避。

シナリオ例

  • EX：ロットフォーロット指図数量
    需要が変動する環境で適用しやすい。例：需要が150個の場合、150個をそのまま発注。
  • FX：固定数量まとめ
    安定した供給が求められる場合に適用。例：発注単位が100個固定。
  • HB：最大在庫まで補充
    欠品を防ぐため、予め設定した在庫レベルまで補充。

3. 期間ロットまとめ方式：詳細とシナリオ

期間ロットまとめ方式は、特定期間の需要をまとめて発注する方式です。

詳細

値方式説明
TB日次ロットまとめ1日の需要をまとめて発注。
WB週次ロットまとめ1週間の需要をまとめて発注。
W2第2週2週間分をまとめて発注。
MB月次ロットまとめ1か月分の需要をまとめて発注。
PB会計期間ロットまとめ会計期間全体での需要をまとめて発注。
PK計画カレンダによる期間ロットまとめ特定のカレンダに基づき需要をまとめて発注。

シナリオ例

  • TB：日次ロットまとめ
    日々の需要変動が激しい場合に適用。例：需要が毎日変動する工場の資材管理。
  • WB：週次ロットまとめ
    発注回数を抑えたい場合に適用。例：週ごとに安定した生産計画がある工場。
  • PK：計画カレンダによる期間ロットまとめ
    特定の稼働日スケジュールに基づく発注。例：生産が行われる曜日が限定されている場合。

4. 最適ロットまとめ方式：詳細とシナリオ

最適ロットまとめ方式は、コストや在庫量を基に最適な発注量を計算する方式です。

詳細

値方式説明
SPPPB方式生産資源と需要に基づく柔軟なロットサイズ計算。
WI最小単価数量まとめ総コストが最小となるよう計算。
DY動的ロットサイズ登録需要に応じてロットサイズを変動。
GRグロフ数量まとめ特定の条件に基づき数量を計算。

シナリオ例

  • SP：PPB方式
    生産計画に基づき最適なロットサイズを計算。例：多様な製品を扱う生産環境。
  • WI：最小単価数量まとめ
    調達コストを重視する場合に適用。例：仕入先からのまとめ買いが必要な資材。
  • DY：動的ロットサイズ登録
    変動が激しい需要に対応。例：急な需要変化に対応するサービス業。

5. まとめ

ロットまとめ方式は、企業の生産効率や調達コストに大きな影響を与えます。静的ロットまとめ方式はシンプルで扱いやすく、期間ロットまとめ方式は需要安定化に役立ち、最適ロットまとめ方式はコスト削減を目的とします。

適切な方式を選択し、品目マスタの設定を見直すことで、運用効率を大幅に向上させることができます。ぜひ、この記事を参考に、最適なロットまとめ方式を導入してください！

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