SAP CO(管理会計)における**内部指図(Internal Order)**は、間接費管理に用いられる重要なサブモジュールです。原価センタ会計と比較しながら、内部指図の概念や使用シーン、コストフロー、指図タイプについて解説します。初心者の方にもわかりやすくまとめました。
1. 内部指図(CO-OM-OPA)とは?
内部指図は、SAP COモジュールにおける間接費管理の一手法で、特定の業務やプロジェクトにかかるコストを追跡・管理するために使用されます。
- 原価センタ会計:日常的な運営コストを部門単位で管理する。
- 内部指図会計:一時的・特定業務(例:イベントや設備保守)ごとのコストを管理する。
原価センタと内部指図の違い
要素 | 原価センタ会計 | 内部指図会計 |
---|---|---|
管理対象 | 日常的・継続的な間接費 | 一時的・特定業務にかかるコスト |
管理単位 | 原価センタ | 内部指図 |
決済レシーバー | 原価センタ、勘定コード | 原価センタ、勘定コード、指図、WBS、収益性セグメント |
例 | 部門ごとの運営費、製造部門の人件費等 | 設備保守費用、マーケティング費用等 |
2. 内部指図の主な種類
内部指図には、実績指図と統計指図の2つのタイプがあります。
① 実績指図(Real Order)
- コストを直接転記し、後続処理として決済(Settlement)を実行します。
- 例:特定のプロジェクトやイベントのコスト管理。
② 統計指図(Statistical Order)
- コストは統計情報として転記され、決済は行いません。
- 原価センタなど、他のコストオブジェクトに実際のコストが転記されます。
- 例:参考として特定のプロジェクトにかかる費用を見たい場合。
3. 内部指図のコストフロー
内部指図のコスト管理は、以下の流れで行われます。
- コスト転記
- 内部指図に対して間接費用を計上します(例:人件費や材料費)。
- T-CODE:FB50 などで勘定コードを用いて転記。
- 決済(Settlement)
- 実績指図の場合、内部指図に集計されたコストを決済レシーバーに転記します。
- 主な決済レシーバー:
- 原価センタ
- 勘定コード
- WBS(Work Breakdown Structure)
- 収益性セグメント
- レポート出力
- 内部指図のコストレポートを確認します(T-CODE:KOB1 など)。
4. 内部指図の登録手順
内部指図の登録
- T-CODE:KO01 を実行。
- 内部指図タイプ(例:実績指図)を選択。
- 内部指図コード、名称、関連する原価センタや勘定コードを入力。
- 保存して登録完了。
内部指図の変更・参照
- KO02:内部指図の変更。
- KO03:内部指図の参照。
5. 利益センタ会計との連携
内部指図に計上されたコストは、利益センタとも連携します。
- 原価センタにコストを配賦する際、原価センタに紐づく利益センタにコストが反映されます。
- 結果として、利益センタレベルでの利益分析が可能になります。
例:
- 内部指図「Aイベント」→ コスト転記 → 原価センタ「マーケティング部門」
- 原価センタ「マーケティング部門」→ 利益センタ「商品X」へ配賦
この流れで、イベントにかかった費用が利益センタ「商品X」の管理対象として把握されます。
6. 内部指図会計の活用例
以下のような業務で内部指図会計が利用されます:
- プロジェクトコスト管理
- 設備保守や特定のマーケティングキャンペーン費用の管理。
- 一時的なコスト管理
- 研修費用や出張費用などの一時的な費用を追跡。
- 収益性分析
- コストの転記先である利益センタと連携し、製品別の収益性を評価。
7. まとめ:SAP COの内部指図を活用しよう
内部指図は、一時的・特定業務のコストを管理するための強力なツールです。原価センタ会計と連携しながら、企業のコスト構造を明確に可視化します。
この記事のポイント
- 内部指図は間接費管理のサブモジュール(CO-OM-OPA)
- 実績指図と統計指図の違いを理解する
- コスト転記 → 決済 → レポートという流れで管理
- 原価センタや利益センタと連携し、利益分析にも活用可能
コメント