SAPの利益センタは、「会社の利益を管理する単位」として定義され、組織や商品群ごとに管理するための重要なマスタです。この記事では、利益センタの基本概念や原価センタ配賦との関係、利益センタ会計の動きについて、初心者にもわかりやすく解説します。
1. 利益センタとは?
利益センタとは、会社の利益(収益 – 費用)を管理するための単位です。
- 目的:会社の部門や事業ごとの利益を把握し、管理する。
- 設定粒度:
- 組織単位(例:事業部ごと、工場ごと)
- 商品群単位(例:製品A、製品B)
原価センタとの違い
要素 | 原価センタ | 利益センタ |
---|---|---|
目的 | 費用(コスト)を管理する単位 | 利益(収益 – 費用)を管理する単位 |
対象勘定 | P/L(費用勘定)のみ | B/S(貸借勘定)およびP/L(収益・費用) |
特徴 | 直接コストや間接費を中心に管理 | 部門別や製品別の利益構造を管理 |
2. 利益センタの設定方法
利益センタマスタは、T-CODE KE51 で登録します。
- KE52:変更
- KE53:参照
利益センタ登録の手順
- T-CODE:KE51 を実行。
- 組織単位(会社コードや利益センタグループ)を入力。
- 必要な利益センタコードと名称を設定。
- 管理対象を選び、保存。
3. 原価センタと利益センタの紐づき関係
SAPでは、原価センタと利益センタは紐づけ関係を持っています。
- 原価センタマスタ(T-CODE:KS03)を参照すると、原価センタに紐づく利益センタを確認できます。
- 原価センタで発生したコストや配賦結果は、紐づく利益センタに影響を与えます。
例:
- 原価センタ「製造部門A」には利益センタ「製品A」が紐づいている。
- 製造部門Aで発生した原価を配賦する際、利益センタ「製品A」の利益管理に反映される。
この関係性により、会社全体の利益管理が正確に行える仕組みになっています。
4. 利益センタ会計の動き
利益センタ会計では、B/S勘定(貸借)およびP/L勘定(収益・費用)を管理対象とします。
以下の業務で利益センタ会計が動きます:
① 原価センタ配賦時の利益センタの動き
- 原価センタで発生したコストが、紐づく利益センタに配賦されます。
- 配賦結果は、P/L勘定に反映され、利益計算のベースになります。
② 品目と利益センタの紐づき
- 製品や部品(品目マスタ)は、利益センタに紐づけて管理することが可能です。
- これにより、製品ごとの利益分析が容易になります。
設定手順:
品目マスタ(T-CODE:MM03)内の「会計ビュー」で、利益センタを登録します。
5. 利益センタ会計の使用例
利益センタ会計は、以下のような業務で活用されます。
① 事業部ごとの利益分析
事業部単位で利益センタを設定することで、各事業の利益構造を可視化します。
② 製品群ごとの利益管理
商品単位で利益センタを設定することで、製品別の収益性を評価できます。
例:
- 事業部A → 利益センタ「製品A」
- 事業部B → 利益センタ「製品B」
各事業部や製品ごとの売上やコストを集計し、利益を算出します。
6. 利益センタの関連トランザクションコード
利益センタ会計の操作や設定で役立つトランザクションコード一覧です。
T-CODE | 内容 |
---|---|
KE51 | 利益センタの登録 |
KE52 | 利益センタの変更 |
KE53 | 利益センタの参照 |
KS03 | 原価センタマスタに紐づく利益センタを確認 |
MM03 | 品目マスタで利益センタの設定を確認 |
7. まとめ:利益センタを活用した利益管理
利益センタは、企業の利益を管理し、製品や事業ごとの収益性を分析するための重要な単位です。
この記事のポイント
- 利益センタの基本概念と原価センタとの違い
- 利益センタの設定方法(KE51)
- 原価センタや品目マスタとの紐づき
- 利益センタ会計の動きと使用例
利益センタを理解し、適切に設定することで、SAP COモジュールを活用した利益管理の精度を向上させることができます。
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