SAP CO|品目評価(MBEW/MBEWH)の仕組みと業務活用法【初心者向け解説】

SAPノウハウ

SAP CO(管理会計)における品目評価は、在庫評価や原価管理の基礎となる重要なプロセスです。本記事では、MBEWおよびMBEWHという2つのテーブルに焦点を当て、それぞれの役割や業務活用法を初心者にもわかりやすく解説します。


1. 品目評価とは?

品目評価とは、品目(商品や材料)の在庫価値や標準原価を計算・管理する仕組みです。SAPでは、品目評価に関連するデータをMBEWMBEWHというテーブルで管理しています。

MBEWとMBEWHの役割

テーブル内容主な用途
MBEW現在の在庫評価額や評価クラス、残在庫数を管理現時点の標準原価や在庫状況の確認
MBEWH過去の標準原価を履歴として保持過去の評価データの参照や比較

2. MBEW(品目評価テーブル)の仕組み

MBEWの特徴

  1. 評価クラス(Valuation Class)
    • 品目がどの勘定に結びつくかを決定するキー項目です。
    • 会計処理で必要な勘定コードの誘導に活用されます。
  2. 現在の標準原価
    • 現在適用されている標準原価が記録されています。
    • T-CODE:CK13Nなどで確認可能。
  3. 残在庫数量と評価額
    • 品目の在庫数量と、その評価額(合計値)を保持します。
    • 在庫評価の計算に直接利用されます。

業務での活用例

  • 在庫評価の確認
    製造業で、月次決算の際に在庫評価額を確認し、財務諸表に反映する場合に使用されます。
  • 勘定設定のチェック
    評価クラスを参照し、正しい勘定に振り分けられているかを確認します。

3. MBEWH(品目評価履歴テーブル)の仕組み

MBEWHの特徴

  1. 履歴データの保存
    • 標準原価が更新された際、古い標準原価はMBEWHに自動的に移動します。
    • 過去の標準原価を参照する際に利用されます。
  2. 原価更新との関係
    • 新しい標準原価を設定する際(例:CK40Nで計算・リリース)、MBEWに記録された古い標準原価がMBEWHに保存されます。

業務での活用例

  • 原価履歴の分析
    過去の標準原価を基に、原価変動の傾向を分析します。
  • 特定時点の原価確認
    年次決算やプロジェクト単位でのコスト分析で、過去の標準原価を参照する場合に役立ちます。

4. MBEW/MBEWHを使ったシステム連携と活用法

SAPでは、これらのテーブルを活用して、他モジュールや外部システムと連携することが可能です。

1. 会計モジュールとの連携

  • 評価クラスと勘定コードの関連付け
    MBEWの評価クラスは、財務会計(FI)で使用される勘定コードを誘導します。

2. Add-on開発での活用

  • MBEWHの履歴データ利用
    Add-on機能で、過去データを参照し、レポートやダッシュボードを作成する際に利用されます。

5. 品目評価データの確認手順

1. 標準原価の確認

  1. T-CODE:CK13N
    CK13Nを使用し、現在の標準原価を確認します。
  2. T-CODE:SE16N(MBEW/MBEWH)
    テーブルMBEWとMBEWHを直接参照し、詳細データを確認します。

2. 原価履歴の追跡

  • 新旧標準原価の比較
    MBEWとMBEWHのデータを照合し、原価更新の影響を確認します。

6. 実務で注意すべきポイント

  1. 原価計算の正確性
    標準原価を設定する際、誤ったデータが登録されると、在庫評価や製品価格に影響を及ぼします。
  2. 過去データの活用
    MBEWHを活用し、過去の原価データを分析することで、原価管理の精度を向上させます。

7. まとめ

SAP COにおける品目評価は、企業のコスト管理や在庫評価に直結する重要なプロセスです。

  • MBEW:現在の在庫評価や標準原価の確認
  • MBEWH:過去の標準原価を履歴として管理
  • 活用例:会計処理、原価分析、Add-on開発でのデータ利用

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