SAPシステムがR/3やSAP ERPからS/4HANAに移行する際、これまで使っていたトランザクションコード(T-CODE)が変更・廃止されてしまった、というケースに直面した方も多いのではないでしょうか?本記事では、新旧のT-CODEを調べる方法を初心者にもわかりやすく解説します。
1. なぜトランザクションコードが変更されるのか?
SAPシステムのバージョンアップに伴い、新しい機能や設計が導入される一方で、旧システムの一部機能が統合・廃止されることがあります。その結果、従来のトランザクションコードが以下のように変更される場合があります:
- 廃止:不要となった機能のT-CODEが削除される。
- 変更:新しいシステム設計に合わせて、T-CODEが変更される。
- 統合:複数のT-CODEが一つの新しいT-CODEに統合される。
そのため、S/4HANA移行後に適切なT-CODEを使用するには、変更点を調査することが重要です。
2. 新旧T-CODEを調べる2つの方法
以下の方法を使えば、新旧トランザクションコードの対応関係を簡単に確認することができます。
方法1:テーブル PRGN_CORR2 を使用する
S/4HANAには、旧T-CODEと新T-CODEの対応関係を記録したテーブル「PRGN_CORR2」が用意されています。このテーブルを参照することで、新旧のT-CODEを簡単に比較できます。
手順
- T-CODE:SE16N を実行 SAP GUIでトランザクションコード
SE16N
を入力し、データブラウザを起動します。 - テーブル名に「PRGN_CORR2」を入力 参照したいテーブル名として「PRGN_CORR2」を入力して検索。
- 検索条件を設定 「旧トランザクションコード」のフィールドに調べたいT-CODEを入力して検索します。
- 結果を確認 結果画面に表示される以下の情報を確認します:
- リリース:対象のリリースバージョン。
- 旧T-CODE:元のトランザクションコード。
- 新T-CODE:対応する新しいトランザクションコード。
PRGN_CORR2 の構造
フィールド名 | 内容 |
---|---|
リリース | 対象リリースバージョン |
旧T-CODE | 旧トランザクションコード |
新T-CODE | 新しいトランザクションコード |
方法2:SAP for Me を利用する
SAP for Me は、SAPが提供する情報ポータルで、製品やシステムの最新情報を調べることができます。S/4HANA移行時のトランザクションコード変更点もここで確認可能です。
手順
- SAP for Me にアクセス SAP for Me SAP IDでログインします。
- 検索機能を使用 検索ボックスに「T-CODE」や「トランザクションコードの変更」などのキーワードを入力して検索します。
- 必要な情報を確認 新旧のT-CODEに関する情報が記載されたページやドキュメントを参照します。
ポイント
SAP for Me では、テーブルよりも包括的な情報が提供されることがあるため、S/4HANA移行全般について調べたい場合に有用です。
3. 注意点
① PRGN_CORR2で見つからない場合
すべてのT-CODEがこのテーブルに登録されているわけではありません。特定のT-CODEが見つからない場合は、SAP for Meや公式ドキュメントを併用しましょう。
② カスタムT-CODEについて
独自に開発されたカスタムT-CODEは、PRGN_CORR2やSAP for Meには記録されません。これらについてはシステム内のトランザクションやテーブル(SE93など)を利用して確認してください。
4. 実例:旧T-CODE「VL02N」の新T-CODEを調べる
手順
- SE16NでPRGN_CORR2を参照。
- 「旧トランザクションコード」に「VL02N」を入力。
- 検索結果で「新T-CODE」が「VL02」に変更されたことを確認。
5. まとめ
SAPのトランザクションコードの新旧を調べる方法として、テーブル「PRGN_CORR2」と「SAP for Me」を活用する手順を解説しました。S/4HANA移行に伴い、トランザクションコードが変更された場合でも、今回ご紹介した方法を使えば簡単に調査が可能です。
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