SAPシステムで発生する権限エラーは、適切に解決することが重要です。
そのために役立つツールが「ST01」と「SU53」です。
これらを活用することで、エラー原因の特定や迅速な対応が可能になります。
本記事でわかること
- 権限トレースの基本的な仕組みがわかる
- ST01とSU53の使い分けが学べる
- トレースを実行する具体的な手順を知る
権限トレースとは
権限トレースの目的
SAPシステムでは、ユーザーが操作する際に権限エラーが発生することがあります。
「権限トレース」とは、こうしたエラーの原因を特定するための方法です。
エラーが発生する箇所や不足している権限を調べることで、問題解決に役立ちます。
ST01とSU53の違い
ST01とSU53は、それぞれ異なる役割を持っています。
- SU53:ユーザーが操作した後、直近で不足していた権限を表示します。
- ST01:システム全体で詳細なトレースを実行し、幅広い情報を取得します。
例えば、SU53は「特定の操作に必要な権限が不足している」ことを簡単に示します。
一方で、ST01はより深いレベルで「どのオブジェクトや値がチェックされたか」まで確認できます。
権限トレースの手順
SU53を使った簡単なエラー特定
- エラーが発生した操作を実行
ユーザーがエラーに遭遇したら、その画面を閉じずに操作を中断します。 - トランザクションコードSU53を実行
エラー直後にSU53を実行すると、不足している権限オブジェクトが表示されます。 - 不足権限を確認
表示された情報から、どの権限が不足しているのかを特定します。
例えば、ME21N(購買発注作成)の実行中に「権限不足」のエラーが出た場合、SU53で「必要な権限オブジェクト」と「不足している値」を確認できます。
ST01を使った詳細なトレース
- トランザクションコードST01を実行
ST01を起動し、トレースを有効にします。 - トレース対象を設定
特定のユーザーやトランザクションコードを指定して、トレース範囲を絞り込みます。
例えば、エラーが発生したユーザーIDを指定します。 - 操作を実行
ユーザーに問題の操作を再度実行してもらいます。 - トレース結果を確認
ST01で取得したログを確認し、どの権限チェックが行われたかを調べます。
「TOBJ」や「値」が確認できるため、エラー原因の詳細な分析が可能です。
トレース後の対策
- 権限不足が判明した場合は、適切なロールに権限を追加します。
- テスト環境で変更を確認し、問題が解決したことを確認します。
例えば、SU53で「M_BANF_BSA」という権限オブジェクトが不足していると表示された場合、そのオブジェクトを対象ロールに追加します。
まとめ
SAPシステムの運用では、権限エラーを迅速に解決することが求められます。
本記事では、ST01とSU53の活用方法を解説しました。
この記事で学んだこと
- 権限トレースはエラーの原因を特定するための手法。
- SU53は簡易的なエラー特定に適し、ST01は詳細な分析に役立つ。
- トレースの結果を基に、権限設定を適切に調整することが重要。
権限トレースを使いこなすことで、SAPシステムの安定運用を支援しましょう!
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