はじめに
SAPプロジェクトの稼働前やユーザー受け入れテスト時によく発生する問題の一つに「ユーザーがトランザクションを使えない」という権限関連のトラブルがあります。
しかし実際には、稼働前だけでなく、保守期間になってからも続々とこんなクライアントの声を聞きます。
- 「Aさんと同じ権限をこの人に付与してほしい」
- 「この人、こんな業務をやるので権限を増やしてほしい」
- 「そもそもこの人、SAPにユーザー登録されてますか?」
このような問い合わせは、私が最近受けた保守サポートの現場でも続出しに起きました。
そこで、本記事ではSAPユーザーの権限を調べるための6つのTコードを、実際の体験にもとづきながら解説します。
SAP権限管理の基本
SAPでは権限を次のようなレイヤーで管理します:
- ロール (Role):業務に必要な権限をまとめた単位
- 権限オブジェクト:Tコード実行やデータアクセスに必要な詳細権限
- プロファイル:古い権限単位。現在は主にロールが使われる
権限トラブルは、このロールに問題があることが大半です。だからこそ、有効なTコードの使い方を記録しておくことに意義があるのです。
ユーザー権限を調べる6つのTコード
1 SU01:ユーザー情報の確認
- ロールやパラメータ情報を一緒に確認
- 使い方:TコードにSU01入力>ID入力>[表示]ボタン
- 「そもそもこの人、SAPに登録されてる?」に答える最短ルート
2 SUIM:ロールや権限の検索ツール
- すべての情報はここから調べられると言っても過言ではない
- ユーザーに割り当てられたロールを確認し、そのロールが何のTコードを含むかを追う
- 比較専用のツールとして使える
3 PFCG:ロールの中身確認
- メニュー:Tコードやレポートのリンク
- 権限:権限オブジェクトの値確認
- ロールの含まれる内容を「同じように付与してほしい」といわれた際に確認
4 SU53:権限エラーの即時確認
- ユーザーがどの権限オブジェクトを持っておらずエラーになったかを確認
- 実行直後じゃないと正しい情報がとれないので、「すぐに実行して画面を送って」と依頼
5 ST01:詳細トレース
- SU53で特定できない場合、最終的に使うデバッグ用ツール
- 特定ユーザーの作業をトレースし、どの権限オブジェクトでNGになったかを確認
- Basisに協力依頼する場合もあり
6 SU10:複数ユーザーの一括確認
- 複数ユーザーの権限を比較したいとき、または一括変更をするときに使用
- AさんとBさんの権限をまったく同じにしたいという依頼に対応
トラブル対応フロー
- ユーザーから「使えない」と聞く
- SU53を実行してもらう
- SUIMでロールを確認
- PFCGでロール内容を確認
- ST01が必要ならトレース実施
よくある依頼と対応例
パターン①「〇〇さんと同じ権限を付与して」
- SUIM で比較対象ユーザーのロールを確認
- PFCG でそのロールの中身をチェック
- SU10 でロールの一括付与
パターン②「この業務をするので必要な権限を追加したい」
- 実行するTコードをヒアリング
- SUIM → Tコードで使用ロールを逆引き
- 必要に応じてST01でオブジェクト分析
パターン③「この人ってSAPに登録されてますか?」
- SU01 でユーザーID検索 → 存在確認
- ロール未設定の場合はSUIMで一覧化
実務に役立つチェックリスト(用途別)
目的 | 推奨Tコード |
---|---|
ユーザーの存在確認 | SU01 |
ロール一覧取得 | SUIM |
ロールの中身を確認 | PFCG |
エラー原因の特定 | SU53 |
詳細ログ解析 | ST01 |
複数ユーザーの比較・一括処理 | SU10 |
おわりに
SAPの保守フェーズにおいて、ユーザー権限の問い合わせは避けて通れません。しかも、少しの確認ミスで「処理できない」「見えない」「使えない」と現場が混乱する可能性もあります。
だからこそ、今回ご紹介したTコードとチェックフローを押さえておくことは、保守を担うコンサルにとって強力な武器になります。
今後もこうした実務に役立つ知見を記録し、現場対応に活かしていきましょう。
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