「インターフェース疎通テストでエラーが出たけど、原因がわからない…」
「送信は成功しているのに、受信システムがファイルを取り込んでくれない…」
そんな経験はありませんか?
実はその原因、拡張子の大文字小文字の違いかもしれません。
拡張子は見た目こそ単純ですが、システム連携の成否を決める重要な要素です。
この記事では、私が実際に経験した「.dat
と .DAT
の違いによる致命的エラー」の事例と、
なぜこうしたことが起こるのか、どう防げるのかを詳しく解説します。
発生状況と背景
この事例は、SAPと外部システム間でのファイル連携の疎通テスト中に起きました。
送信側(SAP)は、テストデータを作成し、受信側システムへファイルを送信。送信ログ上は正常終了。
しかし、受信側で取り込み処理を実行すると「対象ファイルが存在しない」というエラーが返ってきました。
調査を進めた結果、受信システムは拡張子が .dat
(小文字) のファイルのみを取り込む仕様。
ところが、送信側のプログラムは .DAT
(大文字) でファイルを出力しており、
受信側は別拡張子として認識してスキップしていたのです。
技術的な背景
この問題の原因は、拡張子の大文字小文字の扱いにあります。
- Windows環境では、多くの場合、大文字小文字を区別せず、
.dat
と.DAT
は同じと認識されます。 - UNIX/Linux環境や一部アプリケーションでは、大文字小文字を厳密に区別します。
- インターフェースの受信プログラムが、ファイル名・拡張子を完全一致で判定する場合、大文字小文字の違いは致命的なエラーになります。
特に業務系システムは「拡張子で処理を振り分ける」ケースが多く、想定外の拡張子は自動的に除外される仕組みになっています。
📦 用語解説:拡張子とは?
拡張子とは、ファイル名の末尾に付く「.dat」や「.csv」のような識別子で、ファイルの種類や処理方法を表します。
例えば、.csv
はカンマ区切りのテキストファイル、.dat
はデータファイル(プロジェクトごとに独自形式)を意味します。
拡張子は見た目だけの飾りではなく、OSやアプリケーションがファイルをどう扱うかを決める重要な情報です。
SAPプロジェクトならではの注意点
1. ABAPで拡張子を固定化する
ABAPでファイルを出力する際は、OPEN DATASET
のファイル名指定で拡張子を固定文字列にするとブレが防げます。
abapコピーする編集するDATA lv_filename TYPE string.
lv_filename = '/usr/sap/interface/SAPORD_20250811.dat'.
OPEN DATASET lv_filename FOR OUTPUT IN TEXT MODE ENCODING DEFAULT.
拡張子部分に変数を使う場合は、仕様に合わせて明示的に変換します。
abapコピーする編集するTRANSLATE lv_ext TO LOWER CASE.
CONCATENATE lv_path lv_filename '.' lv_ext INTO lv_fullname.
2. OS環境差による落とし穴
- 開発環境:Windowsサーバ(拡張子の大小を区別しない)
- 本番環境:UNIX/Linuxサーバ(拡張子の大小を区別する)
この構成では、開発時にエラーが出ず、本番で初めて取り込み不可になるケースが多発します。
要件定義段階でサーバOSを確認し、開発環境と本番環境の差異を吸収するルールを決めておきましょう。
3. テスト工程での拡張子チェック自動化
疎通テストや総合テストでは、送信後にファイル一覧を取得し、拡張子が仕様通りか自動判定する仕組みを入れると人的見落としを防げます。
簡易的には、UNIXサーバで以下のようにチェック可能です。
bashコピーする編集するls /usr/sap/interface | grep -v '\.dat$'
↑ .dat
以外のファイルを抽出して確認。
原因特定までの流れ
- 仕様書の確認
要件定義書やインターフェース設計書を確認し、拡張子の仕様(小文字固定かどうか)を再チェック - 横展開でのチェック
同時期に開発している他のインターフェースも確認し、同様のミスがないか洗い出し - あるべき仕様の確定
保守性も考慮し、拡張子の表記ルールを正式に確定 - 修正と再テスト
送信プログラムの拡張子出力を修正し、再疎通テストで正常取込を確認
防止策
- 設計段階から明記する
拡張子と命名規則を明文化し、大文字小文字も含めて合意 - 開発段階で固定化する
プログラムで拡張子を固定値に設定し、変数使用時は明示的に変換 - テスト時に運用同等条件で送信
疎通テストでは、本番と同じ命名規則・拡張子仕様で実施 - 運用ルールに反映
保守ドキュメントやチェックリストに拡張子仕様を追加
まとめ
拡張子の違いは、一見些細なことですが、インターフェース連携では致命的なエラー原因となります。
特にSAPでは、ABAPプログラムやジョブ設定、OS環境差による影響を考慮しないと、本番稼働後に突然データが流れなくなるリスクがあります。
今回の事例は疎通テストで発覚しましたが、要件定義段階から拡張子仕様を固め、**「固定化+環境差対応+自動チェック」**を行うことで、こうしたトラブルは防げます。
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