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【SAP入門】ST22でショートダンプを読み解くコツ|AIを活用した原因特定の方法も紹介

SAPノウハウ

本記事で解決できる課題

  • ST22の基本的な使い方がわかる
  • ショートダンプを読み解き、原因特定につなげるコツが理解できる
  • AI(ChatGPTなど)を補助的に活用する現実的な方法がわかる

1. はじめに

SAPを使っていると、突然画面が落ちたり、ジョブが異常終了したりすることがあります。そんなときに登場するのが ST22(ショートダンプ解析) です。

しかしST22には、長文の英語エラーメッセージがずらりと表示されるため、特に新人SAPコンサルにとっては「どう読めばよいのかわからない壁」となりがちです。

本記事では、ST22でショートダンプを効率的に読み解き、原因特定につなげるための3ステップのコツを紹介します。さらに、ChatGPTなどAIを活用する実務的なアプローチについても解説します。


2. ST22とは?

**ST22(Dump Analysis)**は、ABAPランタイムエラーの詳細を確認できるトランザクションコードです。

ダンプが発生すると自動的に記録され、以下のようなシナリオで活用されます。

  • インターフェースで不正なファイルを読み込んで処理が停止した
  • 定期ジョブがエラー終了した
  • ユーザー操作中にシステムが異常終了した

👉 ST22は、障害解析の第一歩となるツールです。


3. ショートダンプで確認できる主な情報

ST22では以下の情報を確認できます。

  • 発生日時:障害発生タイミングを確認
  • ユーザー/端末情報:誰の操作で起きたのか
  • プログラム/FM名:どのABAP処理でエラーが発生したのか
  • エラーメッセージ:エラーの型(メモリ不足、DBエラー、権限不足など)

👉 これらを把握するだけで、一次切り分けが可能になります。


4. 原因特定に導く3ステップのコツ

ステップ1:エラーパターンを把握する

ST22の冒頭に表示される Runtime Error 名を確認します。
代表的な例は以下のとおりです。

  • TSV_TNEW_PAGE_ALLOC_FAILED → メモリ不足
  • DBIF_RSQL_SQL_ERROR → データベースアクセスエラー
  • CALL_FUNCTION_NOT_FOUND → 存在しないFM呼び出し
  • MESSAGE_TYPE_X → 致命的ABAPエラー

👉 まずはエラーの型を認識することが重要です。


ステップ2:どこで落ちたかを確認する

次に Program名やIncludeの行番号を確認します。
これにより「どの業務処理を実行したときに落ちたのか」を把握できます。

例)「MMインターフェースの受信処理プログラムでダンプ発生」
👉 コンサルとしては、この“業務寄りの説明”ができれば十分評価されます。


ステップ3:詳細メッセージを要点翻訳する

長文の英語が続く本文の中で、注目すべきは次の部分です。

“The termination occurred because …”

この直後に原因が記載されていることが多いです。

ただし新人のうちは英語を全部読むのは困難です。そこで:

  1. Google翻訳でざっくり訳す
  2. ChatGPTに「このST22のエラーメッセージの要点を日本語で説明して」と依頼
  3. 得られた結果を「業務寄りの言葉」に置き換えて報告

👉 **「全文理解」ではなく「要点抽出」**を意識することがコツです。


5. 実務でよくあるショートダンプ例

  • TSV_TNEW_PAGE_ALLOC_FAILED
     巨大データ処理時のメモリ不足。インターフェースやジョブで大量データを扱ったときに発生。
  • DBIF_RSQL_SQL_ERROR
     データベース関連のエラー。存在しないレコードアクセスやテーブル不整合など。
  • MESSAGE_TYPE_X
     致命的なエラーでプログラムが停止。開発チームへのエスカレーションが必要。

👉 どのエラーでも「型」と「発生処理」を伝えることが重要です。


6. よくあるFAQ

Q1. ダンプを削除できますか?
→ システムが一定期間保持します。基本的にユーザーは削除不可。

Q2. 全文英語で読めません…
→ 翻訳ツールやChatGPTで要約し、要点だけ把握すれば十分です。

Q3. 報告するときはどうまとめれば?
→ 「いつ・どの処理で・どんなエラー型が発生したか」を簡潔に伝える。
例:「10月11日9時、SDの出荷ジョブでDBエラー(DBIF_RSQL_SQL_ERROR)が発生」


7. まとめ

ST22は障害解析の基本ツールであり、最初は「英語の長文」に圧倒されがちです。
しかし、

  • エラーパターンを見る
  • 発生箇所を確認する
  • 要点を翻訳して整理する

この3ステップを踏めば、一次切り分けは誰でも可能です。

新人コンサルに求められるのは、**エラーを修正することではなく「どこで何が起きたかを業務寄りに翻訳して報告すること」**です。

さらに成長するためには:

  • SM37でジョブ状況を確認
  • ST05でSQLトレースを分析
  • 開発・Basisとの連携で「型→対応チーム」を判断できる力を養う

そして何より、ChatGPTなどAIを活用して要点を掴み、業務の言葉で伝える力を持てば、新人でも現場で信頼される存在になれます。

ST22は障害解析の基本ツールですが、原因がファイルにある場合は AL11での確認 が欠かせません。
アップロードやダウンロード方法、誤操作を防ぐための注意点については以下の記事で詳しく解説しています。
👉 【SAP入門】AL11の使い方と注意点を徹底解説|CG3Y/CG3Zでのアップロード・ダウンロードも紹介

書籍で勉強するのもおすすめです。
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