はじめに
SAP導入や運用の中で、
トラブルが発生しやすい領域の一つがマスタ管理です。
特に、
- 受注登録後にマスタ不備が見つかる
- 出荷・請求で想定外のエラーが出る
といった問題は、
多くの場合「事前の整理不足」が原因です。
本記事では、
SAPで受注登録を行う前に整理しておくべきマスタ項目について解説します。
なぜ受注前のマスタ整理が重要なのか
受注後では修正コストが高い
受注登録後にマスタを修正すると、
- 受注データへの影響確認
- 出荷・請求への影響確認
といった追加作業が発生します。
場合によっては、
すでに後続処理が進んでおり、
修正が非常に困難になることもあります。
マスタは業務ルールの集合体
マスタは単なる設定データではなく、
業務ルールをシステムに落とし込んだものです。
そのため、
業務整理が不十分なままマスタを作ると、
システム上でも矛盾が発生します。
受注前に整理しておくべき代表的なマスタ

得意先マスタ
得意先マスタでは、以下の点を事前に整理します。
- 受注先
- 出荷先
- 請求先
これらが同一か、別管理かによって、
業務フローや責任分担が大きく変わります。
出荷条件・請求条件に関わるマスタ
- 出荷条件
- 請求タイミング
- 支払条件
これらは受注後に変更しづらいため、
業務ルールを明確にした上で登録する必要があります。
マスタ整理でよくある失敗パターン
「とりあえず登録する」
導入初期によくあるのが、
- とりあえず登録
- 後で直せばよい
という考え方です。
しかし、
マスタは一度使われ始めると、
修正の影響範囲が急激に広がります。
責任者が不明確
誰がマスタ内容の正しさに責任を持つのかが曖昧だと、
- 登録ルールが守られない
- 内容にばらつきが出る
といった問題が発生します。
SAP導入初期に行うべきマスタ整理の進め方
業務フローとセットで考える
マスタは、
業務フローと切り離して考えることはできません。
- どの業務で使われるのか
- どのタイミングで参照されるのか
を意識しながら整理します。
最低限必要な項目から始める
最初から完璧を目指すのではなく、
- 受注
- 出荷
- 請求
に最低限必要な項目から整理することで、
導入初期の混乱を防ぐことができます。
まとめ
SAPでの受注登録を安定させるためには、
事前のマスタ整理が不可欠です。
- 受注前に必要なマスタを整理する
- 業務ルールを明確にする
- 責任者を決める
これらを意識することで、
SAP導入後のトラブルを大幅に減らすことができます。
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