はじめに
SAPで販売業務を考える際、
多くの方がまず思い浮かべるのは「出荷」です。
しかし、
サービス販売を扱う場合、
「出荷をしないのに、どうやって売上を立てるのか?」
という疑問にぶつかることがあります。
本記事では、
SAPにおけるサービス販売について、
業務フローと売上計上の考え方を整理します。
サービス販売は「出荷しない」取引である
物販との根本的な違い
物品販売では、
- 出荷
- 出庫確定
- 売上計上
という流れが一般的です。
一方、サービス販売では、
- 物理的な出荷が存在しない
- 在庫の概念がない、または非常に薄い
という特徴があります。
そのため、
出荷=売上という考え方は当てはまりません。
SAPで出荷伝票を作らないケース
サービス販売では、
- 出荷伝票(DO)を作成しない
- 出庫処理を行わない
という設計が一般的です。
その代わり、
請求処理を起点に売上を認識するケースが多くなります。
サービス販売における売上計上の考え方

売上計上のタイミングは「提供完了」
サービス販売で重要なのは、
いつサービスが提供されたと見なすかです。
- 作業完了時
- 契約期間満了時
- 月次・定期的な提供タイミング
業務上のルールを明確にした上で、
それに合わせてSAP上の売上計上タイミングを設計します。
売上原価が存在しない、または間接的である
サービス販売では、
- 明確な売上原価がない
- 人件費などが間接費として扱われる
ケースも多くあります。
この点も、
物販との大きな違いです。
SAP導入時に整理すべきポイント
業務フローとして何を管理するのか
サービス販売では、
- 契約管理
- 提供実績の管理
- 請求タイミング
といった業務が中心になります。
「何をトリガーに請求・売上を立てるのか」
を業務として整理することが重要です。
SAPで管理する範囲を決める
すべてをSAPで管理しようとすると、
設計が複雑になりがちです。
- 契約管理は別システム
- 請求・会計のみSAP
といった役割分担も、
十分に現実的な選択肢です。
サービス販売の整理が不十分な場合に起きる問題
- 売上計上タイミングが曖昧になる
- 会計部門との認識齟齬が発生する
- 月次決算が不安定になる
これらの問題は、
SAPの問題ではなく、業務整理不足が原因であることがほとんどです。
まとめ
SAPにおけるサービス販売は、
- 出荷を前提としない
- 提供完了を基準に売上を考える
という点で、
物販とは大きく異なります。
導入初期の段階で、
- 業務フロー
- 売上計上ルール
- SAPで管理する範囲
を整理しておくことで、
後工程の混乱を大きく減らすことができます。
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