はじめに
SAP導入プロジェクトにおいて、
納期回答は必ずといっていいほど議論になるテーマです。
- 「SAPで納期回答はどこまでできるのか?」
- 「製販チームや計画系システムとの役割分担は?」
- 「結局、誰の数字を正とするのか?」
こうした疑問が整理されないまま進むと、
要件定義・運用の両方で混乱が生じます。
本記事では、
SAP導入における納期回答の考え方について、
業務視点で整理します。
納期回答はSAPだけで完結しない
SAPが得意なこと・苦手なこと
SAPは、
- 受注実績
- 在庫情報
- 計画データ
を一元管理することに優れています。
一方で、
- 製造現場の最新状況
- 外部要因(設備トラブル、優先度変更)
といったリアルタイム判断は、
必ずしもSAP単体で完結するとは限りません。
納期回答=計算結果ではない
納期回答は、
単なる日付計算ではなく、業務判断です。
- この受注を優先するのか
- 他案件への影響を許容するのか
こうした判断を含む以上、
SAPだけで自動化することには限界があります。
納期回答に関わる主な役割
営業部門の役割
営業部門は、
- 顧客との約束
- 納期回答の対外窓口
を担います。
そのため、
「どの情報をもって回答するか」を
明確にしておく必要があります。
製販・計画部門の役割
製販・計画部門は、
- 生産計画
- 能力・キャパシティ判断
を担い、
納期の実現可能性を判断します。
この判断結果を、
どのタイミングで、どの形式でSAPに反映するかが重要です。
SAP導入時に整理すべきポイント

納期回答の起点をどこに置くか
- SAP上の計画日付を基準にするのか
- 製販会議などの判断結果を基準にするのか
起点を曖昧にすると、
「SAPの数字」と「現場の数字」が乖離します。
SAPで管理する範囲を決める
すべてをSAPで計算・判断しようとすると、
- 設計が複雑になる
- 運用が回らなくなる
というリスクがあります。
- SAPは結果を記録・共有する
- 判断は別プロセスで行う
といった役割分担も、
十分に現実的な選択肢です。
納期回答整理が不十分な場合に起きる問題
- 顧客への回答が二転三転する
- 営業と製販の責任分担が曖昧になる
- SAPの納期情報が信用されなくなる
これらは、
システムではなく業務整理の問題です。
まとめ
SAPにおける納期回答は、
- SAPで「すべて決める」話ではない
- 製販・営業との役割分担が重要
という点を押さえる必要があります。
導入初期に、
- 納期回答の判断主体
- SAPで管理する情報の範囲
を整理しておくことで、
納期に関する混乱を大きく減らすことができます。
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