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SAP導入における業務責任・役割分担の整理方法― 出荷・マスタ・請求業務を例に ―

SAPノウハウ

はじめに

SAP導入プロジェクトでは、
機能や画面の議論は比較的スムーズに進む一方で、
業務の責任分担が曖昧なまま進んでしまうケースが少なくありません。

その結果、

  • 「それは誰が判断するのか分からない」
  • 「どの部署の作業なのか曖昧」
  • 「トラブル時に責任の押し付け合いになる」

といった問題が、要件定義後半や運用フェーズで顕在化します。

本記事では、
SAP導入において重要となる業務責任・役割分担の整理方法について、
出荷・マスタ・請求業務を例に解説します。


なぜ業務責任の整理が重要なのか

SAPは業務の「代替」ではない

SAPは業務を支援するシステムであり、
業務の責任を決めてくれるものではありません。

業務責任が曖昧なままSAPを導入すると、

  • システム上は処理できる
  • しかし、誰が最終判断するか分からない

という状態が発生します。

この状態では、
システムが動いていても業務は回りません。

責任が曖昧だと後工程で必ず破綻する

業務責任の整理不足は、

  • 要件定義では表に出にくい
  • テストや運用で一気に問題化する

という特徴があります。

特に、
例外対応やトラブル対応時に、
責任の所在が不明確だと意思決定が止まってしまいます。


業務責任を整理する基本的な考え方

「誰が作業するか」と「誰が責任を持つか」は別

業務責任を整理する際に重要なのは、

  • 実作業者
  • 最終責任者

を分けて考えることです。

例えば、

  • 営業が受注登録を行う
  • しかし受注可否の最終判断は別部署

といったケースも珍しくありません。

SAP導入では、
最終的に誰が判断・責任を持つのかを明確にする必要があります。

業務単位で責任を考える

「SDの責任」「FIの責任」といった考え方ではなく、

  • 出荷業務の責任
  • 請求業務の責任
  • マスタ管理の責任

といった業務単位で整理することが重要です。


出荷・マスタ・請求業務を例に考える

出荷業務の責任

出荷業務では、以下のような論点があります。

  • 出荷指示を出すのは誰か
  • 出荷可否を判断するのは誰か
  • 出荷条件の最終責任は誰が持つのか

営業・物流・製販調整部門など、
複数部署が関与するケースが多いため、
責任の切れ目を明確にする必要があります。

マスタ管理の責任

マスタ管理は、
責任が曖昧になりやすい代表例です。

  • 得意先マスタの登録
  • 出荷先・請求先の管理
  • 変更時の承認

「誰でも登録できる」状態は、
後々大きなトラブルの原因になります。

登録作業者と、
マスタ内容の正確性に責任を持つ部署を分けて考えることが重要です。

請求業務の責任

請求業務では、

  • 請求書を発行するのは誰か
  • 請求内容の正しさを誰が保証するのか

という点が重要になります。

営業・経理の役割分担を明確にしないと、
請求ミスや入金トラブルにつながります。


SAP導入初期に行うべき整理ポイント

業務フローと責任をセットで整理する

業務フロー図を作成する際には、

  • 業務の流れ
  • 各業務の責任者

をセットで整理することが重要です。

単なる作業フローではなく、
責任の流れが見える状態を目指します。

すべてをSAPに任せようとしない

責任分担が曖昧な状態を、
SAPの承認フローや制御で補おうとすると、
システムが過度に複雑になります。

まずは業務として責任を決め、
その上でSAPをどう使うかを考えるべきです。


まとめ

SAP導入において、
業務責任・役割分担の整理は避けて通れません。

  • 業務単位で責任を考える
  • 作業者と最終責任者を分ける
  • 業務フローと責任を同時に整理する

これらを導入初期に行うことで、
SAP導入後の混乱を大きく減らすことができます。

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