1. イントロダクション
SAPのMM(Materials Management)モジュールにおいて、ロット継承は、品質管理とトレーサビリティを確保するための重要なプロセスです。本記事では、ロット継承に関連するトランザクションコード DVS1、DVR1、DVMO の機能と設定方法について詳しく解説します。
2. ロット継承とは?
ロット継承の定義
ロット継承とは、製品や原材料のロット情報が、製造や在庫移動の過程で新しいロットに引き継がれるプロセスを指します。これにより、製品の品質管理とトレーサビリティが強化され、問題発生時の対応が迅速に行えます。
3. トランザクションコード DVS1、DVR1、DVMO の詳細
DVS1 – 継承送信元レコードの登録
DVS1 は、ロット継承における送信元(センダ)となる品目を指定し、継承するロット情報項目を登録するためのトランザクションコードです。これにより、センダ側からどの情報が受信先に引き継がれるかを設定します。
- 使用方法: SAPのコマンドフィールドに DVS1 を入力し、センダ品目を指定します。次に、有効期限日やロット特性など、継承するロット情報項目を選択し、保存します。
DVR1 – 継承受信先レコードの登録
DVR1 は、ロット継承における受信先(レシーバ)となる品目を指定し、受信するロット情報項目を登録するためのトランザクションコードです。さらに、継承ルールを設定し、センダからの情報がどのようにレシーバに適用されるかを定義します。
- 使用方法: SAPのコマンドフィールドに DVR1 を入力し、レシーバ品目を指定します。継承されるロット情報項目を選択し、センダ側からの情報が空白だった場合の処理や、複数センダが存在する場合の値の取り扱い(最小値、最大値、平均値)を設定します。
DVMO – ロット継承モニタ
DVMO は、ロット継承のステータスを監視し、継承が正しく行われたかを確認するためのトランザクションコードです。このコードを使用することで、品目やロット単位で継承の成功/失敗を確認し、詳細なログを参照することができます。
- 使用方法: SAPのコマンドフィールドに DVMO を入力し、監視したい品目やロット番号を指定します。継承された項目や値、継承の成否を照会できます。
4. ロット継承の設定手順
DVS1の設定手順
- DVS1の起動: SAPのコマンドフィールドに DVS1 を入力して、センダ品目を指定します。
- ロット情報の設定: 継承するロット情報項目(有効期限日やロット特性など)を選択し、保存します。
DVR1の設定手順
- DVR1の起動: SAPのコマンドフィールドに DVR1 を入力して、レシーバ品目を指定します。
- 継承ルールの設定: 継承されるロット情報項目を選択し、空白時の処理や複数センダからの値の取り扱いルールを設定します。
DVMOの設定手順
- DVMOの起動: SAPのコマンドフィールドに DVMO を入力し、監視する品目やロット番号を指定します。
- 継承ステータスの確認: 継承の成否や詳細情報を確認し、問題が発生した場合は適切な対処を行います。
5. ベストプラクティス
- 継承ルールの一貫性: センダとレシーバ間の継承ルールを一貫して適用し、トレーサビリティを確保します。
- 定期的な監視とレビュー: DVMOを使用して定期的に継承プロセスを監視し、問題が発生していないか確認します。
- トレーニングの実施: 関係者に対してトランザクションコードの使用方法をトレーニングし、正確な運用を確保します。
6. よくある質問(FAQ)
- Q1: ロット継承の設定が反映されない場合、どうすればよいですか?
A: 継承ルールの設定が正しいか、センダおよびレシーバの品目設定が適切に行われているかを確認してください。 - Q2: DVMOで表示されるエラーメッセージをどう対処すればよいですか?
A: エラーメッセージの内容を確認し、設定に誤りがないかを再度チェックし、必要に応じて設定を修正します。
7. まとめ
SAP MMモジュールにおけるロット継承の設定は、製品の品質管理とトレーサビリティを確保するために重要です。DVS1、DVR1、DVMOといったトランザクションコードを活用することで、効率的なロット管理が可能になります。この記事を参考に、ロット継承の設定を正確に行い、業務効率を最大化してください。
コメント