SAP CO(管理会計)における「統計キー数値(Statistical Key Figures)」は、主にコスト配賦や付替の基準として利用される重要なデータです。統計キー数値は、例えば部門ごとの作業量や生産数などを表す値として原価センタ・利益センタ・内部指図といった管理単位に設定され、実際の原価管理に役立ちます。
この記事では、統計キー数値の役割や設定方法、また配賦・付替などの用途について、初心者にもわかりやすく解説します。
統計キー数値とは?
統計キー数値は、コスト配賦や内部計算の基準となる定量的な指標です。これにより、コストやリソースの使用状況を具体的に測定・管理することが可能になります。以下の管理単位ごとに統計キー数値が設定できます。
- 原価センタ(Cost Center): 部門別のコスト管理を行う単位
- 利益センタ(Profit Center): 利益を追跡するための管理単位
- 内部指図(Internal Order): 特定のプロジェクトや作業のコストを追跡するための単位
統計キー数値の用途
統計キー数値は主に以下の目的で使用されます。
- 配賦基準としての使用
- 統計キー数値を基に、原価センタ間のコスト配賦や付替を行います。例えば、従業員数や生産量に応じて、コストを配賦する際の基準として使用されます。
- コスト分析の補助情報としての利用
- 統計キー数値を用いることで、原価センタや内部指図のコスト分析が容易になります。例えば、稼働時間や生産量に基づき原価センタごとの費用効果を測定することが可能です。
統計キー数値の設定手順
以下に、統計キー数値の設定方法について詳しく説明します。
1. 統計キー数値の基本設定
- トランザクションコード: KP46(統計キー数値の登録/変更)
- SAPメニューから「管理会計 > 原価センタ会計 > 基本設定 > 統計キー数値」を選択します。
- KP46で、新規の統計キー数値を登録または既存の統計キー数値を変更します。
2. 統計キー数値の種類を選択
統計キー数値には、主に「固定値」と「総合値」の2つのタイプがあります。
- 固定値: 月次で変更されない安定した数値(例:部署の従業員数など)
- 総合値: 月ごとに変動する合計数値(例:月ごとの生産量など)
それぞれの用途に応じて、適切なタイプを選択します。
3. 統計キー数値の入力
設定画面で以下の情報を入力します。
- 統計キー数値の名称: 使用目的がわかりやすい名称を設定します。
- 単位: 統計キー数値に対応する単位(例:個、時間、キログラムなど)
- 数値: 配賦基準として使用する数値を入力します。
4. 統計キー数値の登録
入力したデータを確認し、「保存」ボタンをクリックして統計キー数値を登録します。これにより、他の原価センタや利益センタでの配賦基準として使用できるようになります。
統計キー数値の活用
配賦および付替
統計キー数値を用いて、原価センタ間でのコスト配賦や内部指図間の費用付替を行います。例えば、生産量や従業員数などの数値に基づき、実際に発生したコストを各管理単位に按分することが可能です。
- トランザクションコード: KSV5(コスト配賦)
- 配賦方法: 配賦基準として統計キー数値を選択することで、正確かつ公平なコスト配分が可能となります。
照会・分析
統計キー数値は、SAPのレポート機能を通じて各管理単位でのコスト分析やパフォーマンス評価に活用されます。各原価センタや内部指図でのコスト効率を統計キー数値に基づいて確認できます。
まとめ
統計キー数値は、SAP COにおいてコストの配賦や付替を行うための重要な基準です。原価センタや利益センタ、内部指図などに設定され、組織内でのリソースの配分を効率的に行うことが可能になります。設定手順を理解し、統計キー数値を活用することで、コスト管理の精度と効率を向上させることができます。
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