SAP PP打切品とFollow-up品を活用した業界別の事例

SAPノウハウ

SAP PP(生産計画)における打切品Follow-up品の機能は、部品のライフサイクル管理や在庫の効率的な運用に役立つ重要なツールです。この記事では、業界ごとの具体的な使用事例を通じて、打切品とFollow-up品の活用方法をわかりやすく解説します。

打ち切り品に関する解説はこちらの記事をご覧ください。

1. 製造業での打切品とFollow-up品の活用事例

背景

製造業では、製品や部品の改良やコスト削減のために、新しい部品への切り替えが頻繁に発生します。この際、既存の部品(打切品)を計画的に消化し、新しい部品(Follow-up品)にスムーズに移行することが重要です。

活用事例

  • 現行部品の在庫消化
    例: 製品Aの製造に使用していた部品Xを打切品として設定し、新部品Y(Follow-up品)に切り替え。
    → MRPを実行することで、新しい計画手配では部品Yが自動的に反映される。
  • 計画的な部品移行
    例: 設定された打切日付を基に、製造ライン全体での部品移行が可能。

2. 自動車業界での事例

背景

自動車業界では、モデルチェンジや新型車の導入に伴い、多くの部品が短期間で切り替わります。

事例

  • タイヤの切り替え
    • 打切品: タイヤモデルA
    • Follow-up品: タイヤモデルB
    • 活用方法: MRP4ビューで打切区分を「1(単純打切)」に設定し、指定された打切日付以降、タイヤモデルBが自動的に計画手配に反映される。
  • エンジン部品の切り替え
    • 新型エンジンへの移行時、既存部品を打切品として設定。MRP実行により、在庫消化と新型部品の調達が同時進行可能。

3. 電子機器業界での事例

背景

電子機器業界では、技術進化が速く、部品の切り替えが頻繁に行われます。

事例

  • 旧型チップから新型チップへの切り替え
    • 打切品: 旧型チップX
    • Follow-up品: 新型チップY
    • 活用方法: MRP実行時に新型チップYを適用し、BOMを最新状態に更新。
  • PCB基板の改良
    • 打切品: 現行PCB基板A
    • Follow-up品: 改良PCB基板B
    • 活用方法: プロジェクト単位での部品移行においても、効率的な在庫消化が可能。

4. 食品業界での事例

背景

食品業界では、原材料の変更や季節限定商品の入れ替えが必要となることがあります。

事例

  • 原材料の切り替え
    • 打切品: 旧型の包装材料
    • Follow-up品: 新型の環境対応型包装材料
    • 活用方法: 打切日付を指定し、新しい包装材料への移行をスムーズに管理。
  • 季節限定商品の管理
    • 打切品: 春限定のフレーバー材料
    • Follow-up品: 夏限定のフレーバー材料
    • 活用方法: MRP実行により、切り替え時の在庫調整を自動化。

5. 打切品とFollow-up品を導入する際の注意点

正確な打切日付の設定

  • 計画通りに部品が切り替わるよう、正確な日付を設定することが重要です。

BOMの更新

  • 手動で登録した計画手配や指図では、打切品が適用されるため、BOMを最新状態に保つ必要があります。

在庫管理の精度

  • 打切品の在庫が適切に管理されていないと、計画が乱れる可能性があります。

部門間連携

  • 設定や運用に際して、生産計画部門と在庫管理部門の密接な連携が求められます。

6. まとめ

打切品とFollow-up品は、製造業や流通業での部品切り替えを効率的に管理するための重要なツールです。業界ごとに異なるニーズに応じて柔軟に活用できるこの仕組みを導入することで、在庫管理の効率化や部品ライフサイクルのスムーズな移行を実現できます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました