SAP PP(生産計画)において、BOM(部品表)マスタは、生産計画や製造指図の作成に欠かせない基本データです。この記事では、BOMマスタの概要、登録・変更・照会の手順、特殊な設定項目について、初心者にもわかりやすく解説します。
1. BOMマスタとは?
BOM(Bill of Materials)マスタは、1つの生産品目に対して必要な構成品目や数量を定義するデータです。SAPにおけるBOMは、製造工程に必要な部品や材料を効率的に管理し、生産計画や原価計算をサポートします。
2. BOMマスタの役割と構成要素
役割
- 生産品目に必要な構成品目とその数量を定義。
- 製造指図や計画手配で部品を正確に引き当てる。
- 原価計算での構成品コストを算出。
構成要素
項目名 | 説明 |
---|---|
品目番号 | 生産する品目のコード。 |
基本数量 | 生産品目の基準となる数量(例:1個あたりの構成品目数量)。 |
構成品目 | 生産品目に必要な部品や材料の品目番号。 |
数量 | 各構成品目の必要数量。 |
明細レベル設定 | 固定数量、作業不良率、構成品不良率など、特殊な設定項目。 |
3. BOMマスタの登録・変更・照会方法
BOMの登録(T-code:CS01)
- トランザクションコード:
CS01
を入力。 - 基本データを入力:
- 製品の品目コードとプラントを指定。
- 構成品目を登録:
- 各構成品目の品目コードと必要数量を入力。
- 保存: 登録を確定。
BOMの変更(T-code:CS02)
- トランザクションコード:
CS02
を入力。 - 変更するBOMを選択:
- 品目コードとプラントを指定。
- 必要な変更を実施:
- 構成品目の追加・削除、数量の変更など。
- 保存: 変更を確定。
BOMの照会(T-code:CS03)
- トランザクションコード:
CS03
を入力。 - 照会するBOMを選択:
- 品目コードとプラントを指定。
- BOM内容を確認:
- 登録されている構成品目や数量を確認。
4. 特殊な設定項目の使い方
BOMをより高度に活用するために、明細レベルで以下の設定を行うことができます。
項目 | 説明 |
---|---|
固定数量 | 生産数量に関係なく必要な構成品目の数量を設定(例:接着剤など)。 |
作業不良率 | 製造工程で発生する不良率を設定し、計画手配を調整。 |
構成品不良率 | 構成品目の不良発生率を考慮した数量を計算。 |
循環許可 | 循環的な構成品(例:リサイクル材料)の登録。 |
連産品フラグ | 連産品の設定(例:複数の製品が同時に生産される場合)。 |
バルク品 | 生産ラインに大量に供給される材料の管理(例:ビスなど)。 |
出庫保管場所 | 各構成品目が引き当てられる保管場所を指定。 |
原価関連フラグ | 原価計算対象にするかどうかを設定。 |
5. BOMマスタ運用時の注意点
1. 一貫性の確保
BOMマスタが正確で一貫性がないと、生産計画や製造指図に誤りが生じます。登録・変更時には細心の注意が必要です。
2. 定期的な見直し
製造プロセスや部品構成の変更に伴い、BOMを定期的に更新することを推奨します。
3. 原価計算との連携
原価関連フラグを適切に設定し、正確な原価計算を実現します。
6. まとめ
BOMマスタはSAP PPの基幹データであり、生産計画や製造指図、原価計算の基盤となる重要な情報です。正確な登録・変更・照会のプロセスを把握し、特殊な設定項目を適切に活用することで、効率的な製造プロセスを構築できます。
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