SAP PP(生産計画)で使用される作業手順マスタは、製造工程において作業時間や作業の流れを管理するための重要なデータです。この記事では、作業手順マスタの概要、登録・変更・照会方法、特殊な設定項目について初心者にもわかりやすく解説します。
1. 作業手順マスタとは?
作業手順マスタは、製造工程における作業内容、作業時間、順序、必要な作業区などを定義するデータです。生産計画や製造指図の作成時に、効率的で正確な計画をサポートします。
2. 作業手順マスタの役割
作業手順マスタは次の役割を持ちます:
- 作業時間の管理
製品1個あたりの標準作業時間を定義。 - 作業の流れの可視化
各工程の順序や並列作業を設定。 - 製造工程の効率化
工程検査や自動入庫などの作業指示を管理キーで指定。
3. 作業手順マスタの登録・変更・照会方法
作業手順マスタの登録(T-code:CA01)
- トランザクションコード:
CA01
を入力。 - 基本情報の入力:
- 品目コード
- プラント
- 作業手順グループとグループカウンタを入力。
- 作業手順の追加:
- 作業区、基本数量、作業時間を登録。
- 必要な設定を入力:
- 管理キー、順序などを設定。
- 保存: 登録を確定。
作業手順マスタの変更(T-code:CA02)
- トランザクションコード:
CA02
を入力。 - 変更対象の作業手順を選択:
- 作業手順グループとグループカウンタを指定。
- 情報を変更:
- 作業時間や順序など必要な項目を修正。
- 保存: 変更を保存。
作業手順マスタの照会(T-code:CA03)
- トランザクションコード:
CA03
を入力。 - 照会する作業手順を指定:
- 作業手順グループとグループカウンタを入力。
- 情報を確認:
- 作業区、作業時間、順序、管理キーなどを閲覧。
4. 作業手順マスタの主な設定項目
項目名 | 説明 |
---|---|
作業区 | 作業が実施される場所や製造機器を指定。 |
基本数量 | 基準となる生産数量を設定。 |
作業時間 | 1単位の製品を作るために必要な作業時間を定義。 |
管理キー | 工程検査、自動入庫などの工程指示を指定。 |
順序 | 工程の流れを決定。並列作業や代替順序も設定可能。 |
補助作業 | 主作業を補助する作業を定義(例:清掃作業)。 |
5. 作業手順マスタ運用時の注意点
1. 正確な作業時間の設定
- 作業時間が不正確だと、製造計画全体に影響を及ぼします。現場と協力して標準作業時間を確認しましょう。
2. 順序の整合性
- 順序設定が不適切だと、生産指図や計画手配にエラーが生じます。順序や並列作業設定を慎重に行う必要があります。
3. 管理キーの適用
- 工程検査や自動入庫などの機能を利用する場合、適切な管理キーを設定してください。
6. まとめ
SAP PPにおける作業手順マスタは、生産計画や製造指図の基盤となる重要なデータです。正確な登録・変更・照会を行うことで、生産プロセスの効率化を実現します。特に、作業時間や順序、管理キーの設定は、計画精度を左右する重要なポイントです。
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