SAPのPP(生産計画)モジュールでは、BOM(部品表)、作業区マスタ、作業手順マスタ、製造バージョンといったマスタデータが製造プロセスの基盤となります。これらのマスタデータを正確に設定することで、計画手配や製造指図などのトランザクションデータが正しく作成され、製造プロセスがスムーズに進行します。
この記事では、各マスタの役割や設定方法について、初心者にもわかりやすく解説します。
1. SAP PPで使用するマスタデータとは?
SAP PPモジュールにおけるマスタデータは、製造計画や製造指図を管理するための基礎情報です。マスタデータを正確に設定することで、以下のようなメリットが得られます:
- 計画精度の向上: 必要な材料や作業時間が正確に計画されます。
- 製造プロセスの効率化: 不要なエラーや遅延を防ぎます。
- 原価計算の精度向上: 各工程や材料のコストを正確に把握可能。
PPモジュールで使用する主なマスタは以下の通りです:
マスタ名 | 主な役割 | 登録トランザクションコード |
---|---|---|
BOM | 製品の部品構成を定義 | CS01(登録)、CS02(変更)、CS03(照会) |
作業区マスタ | 作業場所や機器情報を定義 | CR01(登録)、CR02(変更)、CR03(照会) |
作業手順マスタ | 作業内容や流れ、所要時間を定義 | CA01(登録)、CA02(変更)、CA03(照会) |
製造バージョン | BOMと作業手順の組み合わせ情報を管理 | C223(登録・変更・照会) |
2. BOM(部品表)とは
概要と役割
**BOM(Bill of Materials)**は、製造に必要な部品や材料の構成を定義するデータです。製造する製品1単位に対して、どの部品がどれだけ必要かを明確にします。
登録・変更・照会方法
- 登録: T-code
CS01
を使用し、品目コードとプラントを指定して構成品目を登録します。 - 変更: T-code
CS02
で登録済みのBOMを修正可能。 - 照会: T-code
CS03
で登録内容を確認。
3. 作業区マスタとは
概要と役割
作業区マスタは、作業場所や製造機器に関する情報を管理します。作業時間や能力計画の元データとして使用され、製造原価計算にも影響を与えます。
登録・変更・照会方法
- 登録: T-code
CR01
で作業区番号、作業カテゴリ、能力情報を登録。 - 変更: T-code
CR02
で必要な情報を修正。 - 照会: T-code
CR03
で作業区情報を確認。
4. 作業手順マスタとは
概要と役割
作業手順マスタは、製造工程の流れや作業時間を管理するデータです。製造指図や計画手配の際に参照され、効率的な製造プロセスを支援します。
登録・変更・照会方法
- 登録: T-code
CA01
を使用し、作業区や基本数量、作業時間を登録。 - 変更: T-code
CA02
で修正可能。 - 照会: T-code
CA03
で内容を確認。
5. 製造バージョンとは
概要と役割
製造バージョンは、BOMと作業手順を組み合わせたデータです。S/4HANAでは設定が必須であり、製造条件ごとに複数の製造バージョンを設定可能です。
登録・変更・照会方法
- 登録: T-code
C223
で製造バージョン番号、BOM、作業手順を設定。 - 変更: 同じく
C223
で修正可能。 - 照会:
C223
で登録済みの情報を確認。
6. まとめ
SAP PPモジュールにおけるBOM、作業区マスタ、作業手順マスタ、製造バージョンは、生産計画や製造指図の基盤を形成する重要なマスタデータです。これらを正確に設定することで、計画精度の向上や製造プロセスの効率化を実現できます。
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