支払条件(Payment Terms)は、取引先への支払期限や割引条件を決定する重要なマスタデータです。SAPでは、**BPマスタ(ビジネスパートナーマスタ)**や購買プロセス、債務伝票の登録時に支払条件が活用されます。本記事では、支払条件の概要や設定方法、業務フローにおけるポイントを初心者にもわかりやすく解説します。
1. 支払条件とは?
**支払条件(Terms of Payment)**は、取引先への支払いに関する条件を定義する設定です。具体的には以下を含みます:
- 支払期日: 支払いの締め日や期日を指定。
- 割引条件: 早期支払い時の割引内容を設定。
- 分割支払い: 支払いを複数回に分ける場合の条件。
SAPでは、支払条件は主に以下のプロセスで使用されます:
- BPマスタ: 仕入先や得意先の登録時に設定。
- MM(購買モジュール): 購買発注書の登録時に誘導。
- 債務伝票(FIモジュール): AP伝票の支払条件を自動設定。
2. 支払条件の用途と誘導フロー
支払条件は以下のフローで利用されます:
1. BPマスタに登録
支払条件は、BPマスタの仕入先 – 会社コードビューに登録します。この登録により、以下のようなメリットがあります:
- 債務伝票を登録する際に自動的に支払条件が誘導される。
- 購買プロセス全体を通じて統一的な条件管理が可能になる。
2. 購買モジュール(MM)の利用
購買発注書の登録時に、BPマスタに設定された支払条件が自動的に誘導されます。
- 後続プロセスでの利用: 入庫処理や請求書照合時にも、購買発注書の支払条件が引き継がれる。
3. 債務伝票(FIモジュール)
債務伝票を登録する際、BPマスタに設定された支払条件が自動的に誘導されます。
- AP明細: 支払保留フラグや支払期日、取引銀行などを自動的に適用。
3. 支払条件の設定方法
1. 支払条件のカスタマイズ
T-code: OBB8
を使用して、新しい支払条件を設定します。
手順
- T-code: OBB8 を入力し、支払条件の設定画面を開く。
- 新しい支払条件を登録:
- 支払期間: 支払い期限(例: 30日以内)。
- 割引条件: 早期支払い割引(例: 支払日から10日以内で2%割引)。
- 分割支払い: 必要に応じて支払いを複数回に分ける。
- 保存: 入力内容を確認し、保存。
2. BPマスタへの設定
支払条件をBPマスタに登録することで、自動的に伝票登録時に適用されます。
設定手順
- T-code: BP(ビジネスパートナー管理) を使用。
- 仕入先 – 会社コードビューを開く。
- 支払条件を入力(例: OBB8で設定した条件)。
- 保存して完了。
3. 支払条件テーブル
支払条件は、テーブル T052 に格納されます。このテーブルで詳細情報を確認できます。
4. SAPにおける支払条件の活用事例
1. 債務伝票の登録時
債務伝票をマニュアルで登録する際、BPマスタに設定された支払条件が自動的に誘導されます。これにより、手入力の手間を削減できます。
- T-code:
FB60
(仕入先請求書の登録)
2. 購買プロセスでの活用
購買発注時、支払条件が自動的に適用され、後続の入庫・請求書照合まで一貫した管理が可能です。
- T-code:
ME21N
(購買発注の登録)
3. 支払処理での活用
SAPの支払処理(T-code: F110)では、支払提案で支払条件を確認しながら処理を進めます。
5. まとめ
支払条件(Terms of Payment)は、SAPにおける財務管理や購買プロセスを効率化するための重要な設定です。
- BPマスタへの登録により、全プロセスで統一的な管理が可能。
- 購買発注や債務伝票の登録で自動的に誘導されるため、業務効率が向上。
- T-code: OBB8 を使用して柔軟な条件設定が可能。
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