SAP SD | 販売出力マスタの概要解説

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SAP SDモジュールにおける販売出力マスタは、特定の伝票に対してどのような出力を、どの形式で、どのタイミングで実行するかを制御する重要な設定要素です。本記事では、出力マスタの基本概念や設定の流れ、検索順序(Key Combination)の仕組み、活用例について詳しく解説します。


1. 販売出力マスタとは?

販売出力マスタは、特定の伝票に関連する帳票やデータ出力を管理するためのマスタデータです。このマスタを活用することで、企業は出力業務を効率化し、顧客対応や内部プロセスを改善することができます。

主な役割

  • 出力内容の制御: どの伝票に対して、どのような出力を行うかを定義します。
  • タイミングの制御: 出力の実行タイミング(例:即時実行、バッチ処理)を設定。
  • 形式の選択: 出力内容のフォーマット(例:PDF、EDI、プリンター)を選択。

具体例

得意先Aからの受注伝票作成時に、Proforma Invoice(仮送り状)をPDF形式で出力し、指定のメールアドレスに自動送信するなどの設定が可能です。


2. 出力マスタの基本機能

1. デフォルト設定とカスタマイズ

  • 出力マスタの値は伝票作成時にデフォルト提案されます。
  • 必要に応じて、伝票作成時に出力内容や方法を変更することが可能です。

2. 出力管理の柔軟性

  • 出力タイミング: 受注伝票作成時、変更時、または確定時など、プロセスに応じたタイミングで出力。
  • 出力形式: 印刷(プリンター)、PDF生成、EDI送信など。

3. 出力マスタの設定方法とトランザクションコード

出力マスタの設定は、次のトランザクションコードを使用して行います。

T-CODE内容
VV11受注伝票の出力マスタを登録
VV12受注伝票の出力マスタを変更
VV13受注伝票の出力マスタを参照
VV21出荷伝票の出力マスタを登録
VV22出荷伝票の出力マスタを変更
VV23出荷伝票の出力マスタを参照
VV31請求伝票の出力マスタを登録
VV32請求伝票の出力マスタを変更
VV33請求伝票の出力マスタを参照

設定手順

  1. 出力マスタの登録
    • 対応するT-CODE(例: VV11)を使用し、新しい出力マスタを登録します。
    • 例: 販売伝票タイプ、顧客コード、出力タイプを入力。
  2. 検索順序の設定
    • 条件テーブルと検索順序を定義し、特定条件での出力をカスタマイズ。
  3. 伝票との関連付け
    • 作成した出力マスタを対応する伝票に適用。

4. 検索順序(Key Combination)の仕組みと設定

検索順序(Key Combination)は、出力を実行する条件を制御する仕組みです。たとえば、「販売伝票タイプ + 顧客コード」の組み合わせで出力内容を決定することができます。

設定手順

  1. 条件テーブルの作成
    • 出力内容を決定するためのキー項目を設定(例: 顧客コード、販売伝票タイプ)。
  2. 検索順序の定義
    • 条件テーブルを検索順序に関連付け、優先順位を決定。
  3. 出力タイプへの割り当て
    • 作成した検索順序を出力タイプに割り当て、伝票上で使用可能にします。

検索順序の例

  • 販売伝票タイプ + 販売組織。
  • 販売伝票タイプ + 販売組織 + 顧客コード。

5. 販売出力マスタの活用例

例1: 仮送り状の自動出力

  • 目的: 受注伝票作成時に、Proforma Invoiceを自動生成。
  • 設定: VV11で出力タイプを登録し、受注伝票タイプをキーに設定。

例2: EDI送信の自動化

  • 目的: 請求書をEDI形式で顧客に送信。
  • 設定: VV31で出力タイプを登録し、顧客コードをキーに設定。

6. 使用時の注意点とベストプラクティス

  1. 出力マスタの一貫性
    • デフォルト設定と変更可能範囲を明確にし、運用ミスを防ぐ。
  2. 条件テーブルの最適化
    • 必要最小限のキー項目を設定し、パフォーマンスを向上。
  3. テストと検証
    • 出力設定を運用前に十分テストし、エラーや不整合を防止。

7. まとめ

販売出力マスタは、特定の伝票に対して柔軟かつ効率的な出力を実現するための重要な設定要素です。検索順序や条件テーブルを適切に設定することで、業務プロセスの効率化とエラーの削減を図ることができます。

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