SAP MMにおける購買価格マスタ（Purchasing Condition Record）とは何か？ 価格情報の管理方法や設定手順、関連トランザクションコード・テーブルまで詳しく解説します。SAP初心者や実務担当者の方はぜひ参考にしてください！
1. 購買価格マスタ（条件マスタ）とは？
購買価格マスタ（条件マスタ）とは、購買に関わる価格情報を管理するマスタデータです。
SAPでは、価格や割引、税金といった商いに関わる全ての要素を条件タイプという単位で管理します。
例えば、購買発注時に「基準価格」や「割引価格」などを参照する場合、その情報源となるのが購買価格マスタです。
購買価格マスタの特徴
- 共通データベース：購買情報マスタ、購買契約、購買発注伝票などは全て購買価格マスタを参照します。
- 柔軟な設定：価格条件に合わせて、基準価格・割引率・スケール価格を細かく設定可能。
- 条件タイプ管理：価格情報は条件タイプごとに管理され、Key Combination（検索順序）で最適なレコードが参照されます。
2. 購買価格マスタの登録・変更・照会（トランザクションコード）
購買価格マスタを管理する主なトランザクションコードは以下の通りです。
| T-CODE | 内容 |
|---|---|
| MEK1 | 購買の条件タイプのレコードを登録する。 |
| MEK2 | 購買の条件タイプのレコードを変更する。 |
| MEK3 | 購買の条件タイプのレコードを参照する。 |
| MEK4 | 参照しながら新規レコードを登録する。 |
3. 購買価格マスタの登録手順（T-CODE：MEK1）
購買価格マスタを登録する具体的な手順を以下に説明します。
手順
- T-CODE：MEK1 を実行
- 条件タイプ（例：PB00：基準価格）を入力
- Key Combination（検索順序）を選択
- 例：仕入先、品目コード、購買組織など
- 条件レコードの入力
- 基準価格、スケール価格（数量や金額に応じた価格）を設定
- 有効期間：適用開始日と終了日を設定
- 保存：設定内容を確認し、保存
4. 購買価格マスタ関連テーブル
購買価格マスタのデータは、以下のテーブルで管理されています。
| テーブルID | 内容 |
|---|---|
| Aテーブル | Key Combination（検索順序）ごとに条件情報と条件レコードNo.を格納。 |
| KONP | 価格マスタで設定した金額情報を格納するテーブル。 |
| KONW | スケール情報（数量スケールや金額スケール）を格納するテーブル。 |
テーブルの確認方法
- T-CODE：SE16N を使用してテーブルIDを入力し、条件レコードNo.をもとにデータを検索できます。
5. 購買価格マスタの設定と検索順序（Key Combination）
価格マスタを登録する際、条件タイプごとに設定できるKey Combination（検索順序）が重要です。
例えば、以下のような順序で価格を検索する設定が可能です。
- 仕入先 + 品目コード + 購買組織
- 品目コードのみ
- 仕入先のみ
この順序に従い、購買発注時に最適な価格条件が自動的に参照されます。
6. 購買価格マスタの実務活用例
1. 基準価格の設定
- 仕入先Aから品目Xを発注する場合に、単価100円と登録。
2. スケール価格の設定
- 数量スケール：数量が1,000個以上の場合、単価90円に自動調整。
- 金額スケール：合計金額が10,000円を超えると割引率5%を適用。
3. 有効期間による価格管理
- 期間限定の価格設定や、異なる有効期間での価格切り替えを管理。
7. 購買価格マスタの注意点
- 検索順序（Key Combination）の設定：要件に応じて適切な検索順序を定義することが重要です。
- 有効期間の管理：古いレコードの有効期限を確認し、重複しないように管理しましょう。
- スケール価格の活用：数量や金額に応じた価格設定を適切に行い、購買コストを最適化します。
8. まとめ
SAP MMの購買価格マスタ（条件マスタ）は、購買業務において中心的な役割を果たします。価格情報を効率的に管理し、柔軟な価格設定を実現するためには、条件タイプや検索順序の理解が欠かせません。
重要ポイントの振り返り
- T-CODE：MEK1 で購買価格マスタを登録
- 関連テーブル：Aテーブル、KONP、KONWでデータを管理
- 検索順序を設定し、最適な価格情報を参照
購買価格マスタを正しく設定し、業務効率化とコスト削減を実現しましょう！
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