SAP MM(購買管理)の基本契約(Outline Agreement)は、仕入先との間で特定の条件をあらかじめ取り決めておくための重要な伝票タイプです。これを活用することで、購買業務を効率化し、条件違いのリスクを減らすことができます。
この記事では、購買発注基本契約の概要と業務プロセス、実施手順について、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します!
1. 購買発注基本契約とは?
購買発注基本契約は、仕入先に対してあらかじめ条件を取り決めた伝票で、次のような特徴があります:
- 特定期間内に有効
基本契約には、契約期間が設定され、その期間内でのみ有効です。 - 条件の統一
購買発注伝票に基本契約を参照することで、条件を統一して購買業務を進められます。 - 数量契約と金額契約
必要な条件に応じて、数量ベースまたは金額ベースの契約を作成可能です。
2. 購買発注基本契約の種類
SAPでは、購買発注基本契約には以下の2種類があります。
種類 | 概要 |
---|---|
数量契約 | 契約期間内に取り決めた条件で仕入れる数量の上限を定義します。 |
金額契約 | 契約期間内に取り決めた条件で仕入れる金額の上限を定義します。 |
数量契約の例:
仕入先から特定の部品を1,000個まで調達する契約。
金額契約の例:
仕入先から指定品目を合計50万円以内で調達する契約。
3. 購買発注基本契約の作成手順
購買発注基本契約を作成する手順は以下の通りです。
① 基本契約の登録
- T-CODE:ME31K を実行。
- 契約タイプ(数量契約または金額契約)を選択。
- 必要な仕入先、契約期間、条件を入力。
- 明細タブに品目や数量(または金額)を登録。
- 完了したら保存。
4. 購買発注基本契約の承認フロー
基本契約の承認フローを設定することで、適切な管理と透明性を確保できます。
承認フローの実行
- T-CODE:ME35K を実行。
- 対象の基本契約を選択し、承認を実行。
- 必要に応じて、承認履歴を確認。
5. 基本契約から購買発注を作成する方法
基本契約から購買発注伝票を作成する方法は、次の手順で行います。
① 基本契約を参照して購買発注作成
- T-CODE:ME33K を実行し、対象の基本契約を参照。
- メニューから「基本契約 > 後続機能 > 契約リリース発注」を選択。
- 購買発注作成画面に遷移し、基本契約の内容がコピーされた状態で伝票が表示されます。
② カートにドラッグ&ドロップ
- 伝票概要に表示された基本契約を、カートにドラッグ&ドロップ。
- 契約内容(品目明細、金額、支払条件)が購買発注伝票に自動的にコピーされます。
- 必要項目を確認し、保存します。
6. 購買発注基本契約関連のトランザクションコード
購買発注基本契約の登録・参照・承認を効率的に行うために、以下のトランザクションコードを活用します。
T-CODE | 内容 |
---|---|
ME31K | 購買発注基本契約の登録(新規作成) |
ME32K | 購買発注基本契約の変更 |
ME33K | 購買発注基本契約の参照 |
ME35K | 購買発注基本契約の承認 |
7. 購買発注基本契約関連のテーブル
購買発注基本契約のデータは、以下のテーブルで管理されています。データ整合性の確認やレポート作成に役立ちます。
テーブルID | 内容 |
---|---|
EKKO | 基本契約のヘッダ情報を格納しています。 |
EKPO | 基本契約の明細情報を格納しています。 |
8. 購買発注基本契約を活用した業務効率化のポイント
- 契約期間を明確化する
契約期間を明確に設定し、定期的に見直すことで業務効率を向上させます。 - 承認フローを導入する
不正防止や内部統制強化のため、基本契約の承認フローを設定します。 - 自動化機能の活用
基本契約を参照して購買発注を作成することで、手動入力のミスを防ぎます。
まとめ:SAP MMの購買発注基本契約をマスターしよう!
購買発注基本契約を適切に活用することで、購買業務の透明性を確保し、業務効率を向上させることができます。
この記事のポイント
- 購買発注基本契約の概要と種類
- 実施手順と承認フローの設定方法
- 業務効率化のためのポイント
SAPの基本契約をマスターし、購買管理のプロフェッショナルを目指しましょう!
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