SAP COモジュールの収益性分析(COPA)は、実際のデータ(実績)と計画データを比較し、ビジネスの収益性向上に役立つ差異分析を行う機能です。本記事では、実績データと計画データを活用した差異分析手順を具体例とともに解説します。
1. COPAにおける実績データと計画データとは?
収益性分析(COPA)では、以下の2つのデータを管理します:
テーブルID | 内容 |
---|---|
CE1XXXX | 実績データ(Actual Data) |
CE2XXXX | 計画データ(Planned Data) |
SAPでは、実績データと計画データを比較することで、以下のような差異を分析できます:
- 売上目標に対する実績との差異
- 原価計画と実際のコストの差異
- 利益率の変動要因の分析
2. 差異分析の目的とメリット
差異分析の目的
- 計画と実績のギャップを特定し、原因を明確にする
- 収益性が低い部門や商品、地域を特定し、改善策を検討する
- 予算達成度を評価し、経営意思決定に役立てる
差異分析のメリット
- 経営の透明性向上
- 予実管理の精度向上
- 不採算部門やコスト超過の早期発見
3. 差異分析の手順
手順1:データの抽出
SAPの以下のテーブルからデータを抽出します:
- 実績データ → CE1XXXX
- 計画データ → CE2XXXX
データ抽出にはT-CODE:SE16Nを使用します。
- 実績データの抽出
- T-CODE:SE16N
- テーブル「CE1XXXX」を入力
- 期間や条件を設定しデータを抽出
- 計画データの抽出
- T-CODE:SE16N
- テーブル「CE2XXXX」を入力
- 期間や条件を設定しデータを抽出
手順2:データの比較・差異の算出
エクセルやBIツールを活用して、実績データと計画データを比較します。
項目 | 計画値(CE2XXXX) | 実績値(CE1XXXX) | 差異(計画-実績) |
---|---|---|---|
売上 | 10,000,000 | 9,000,000 | -1,000,000 |
原価 | 6,000,000 | 6,500,000 | 500,000 |
利益 | 4,000,000 | 2,500,000 | -1,500,000 |
手順3:差異の要因分析
差異が発生した原因を具体的に特定します:
- 売上の減少要因
- 受注数量の減少
- 販売価格の低下
- 原価の超過要因
- 材料費の高騰
- 生産効率の低下
- 利益の減少要因
- 売上の減少と原価の増加の複合的な影響
4. 差異分析の具体例
例1:製品別の差異分析
製品Aの計画データと実績データを比較した場合:
製品 | 計画売上 | 実績売上 | 差異 | 要因 |
---|---|---|---|---|
製品A | 5,000,000 | 4,500,000 | -500,000 | 販売数量の減少 |
製品B | 3,000,000 | 3,200,000 | 200,000 | 特別キャンペーンの効果 |
例2:地域別の差異分析
地域 | 計画売上 | 実績売上 | 差異 | 要因 |
---|---|---|---|---|
東日本 | 6,000,000 | 5,800,000 | -200,000 | 季節的要因 |
西日本 | 4,000,000 | 4,500,000 | 500,000 | 新規顧客の獲得 |
5. 差異分析レポートの活用ポイント
- レポートの可視化
ExcelのピボットテーブルやSAP標準レポートを活用して、差異を視覚的に確認します。 - 差異要因をカテゴリ化
売上、原価、利益に分けて原因分析を行い、改善策を検討します。 - 改善アクションの提案
具体的なアクションプラン(例:生産効率改善、価格戦略見直し)を策定します。
6. まとめ|実績データと計画データで効果的な差異分析を!
SAP COの**収益性分析(COPA)**では、実績データ(CE1XXXX)と計画データ(CE2XXXX)を比較し、収益性の改善に繋がる差異分析が可能です。
この記事のポイント
- 実績データと計画データのテーブル構造を理解する
- 差異分析の手順をステップごとに実施
- 差異の要因を特定し、改善アクションに繋げる
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